相続財産「路線価」否定判決

皆さんは、国税の伝家の宝刀「総則6項」をご存じですか?
伝家の宝刀が抜かれた東京地裁令和元年8月27日判決は、相続業界ではすでにいろいろな形で大きく扱われていますね。
この判決は納税者が財産評価基本通達により算出した不動産の評価額が不適当であるとして、総則6項を適用し、鑑定評価に基づき公正処分を行ったことを容認したものでした。
近年、通達に沿った税務処理を否認する課税処分を不服として提起した訴訟で、納税者の主張が相次いで退けられていると聞いています。
本件は財産評価基本通達による評価額と、更正処分による評価額鑑定評価額との間には4倍弱の9億以上の乖離が生じていたので、う~んというところもありますが。
ただ、総則6項も、財産評価基本通達の一部を構成していることから、総則6項適用の課税処分が、一概に基本通達に反した課税処分とは言えない。
一方で相続の実務が財産評価基本通達に依拠しているという事実、我々相続実務に携わる行政書士からすれば、なぜ財産評価基本通達に基づく評価が認められないのか?という疑問が生じます。
相続対策のための不動産購入自体は一般的に行われているだけに、 適用の事情がベールに包まれたままであれば、遺言書の内容も、遺産分割協議の内容においても。法的安定性と予測可能性を確保することは不可能です。
我々の相続実務へ大きな影響があるわけですね。
これからの遺言書サポートは、可能性ある相続トラブルを念頭に置いたアドバイスをご相談者にできるように自己研鑽は欠かせないと考えています。

 

2020年01月30日